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高品質のプロシージャルエフェクトパイプラインの構築

VIRTUOSエキスパートトーク#8

Virtuosのグローバル開発、Art、VFXチームからの学習とベストプラクティスに関する定期的記事の8番目。

ヒストリー概略

Virtuosは、設立以来、アート、アニメーション、ゲーム開発サービスを世界中のクライアントに提供するための包括的なツールセットを活用してきました。 
Houdiniはそのようなツールの1つであり、ゲームと映画の両方の制作で広く使用されています。Virtuosは、初めにHoudiniを使用しTVシリーズのシーンをアニメーション化しました。
多くの場合、MayaやMental Rayなどの3Dレンダリングプログラムと連携しています。例の1つにStar Wars Rebelsがあり、
Houdiniで作られたライトセーバーによって引き起こされる金属の溶解エフェクトなど、様々なVFXがあります。
同ソフトウェアは、シーズン3の終わりの宇宙での戦闘場面で見られるレーザーや船の破壊エフェクトにも使用されています。

ケーススタディ:Age of Empires II:Definitive Edition

RTSクラシックの待望のリマスターであるAge of Empires II:Definitive Editionは、細心の注意が必要なプロジェクトであり、全てのディテールを最高品質にアップデートするための労力を惜しみませんでした。
この使命を忠実に実行した結果、ゲームの最終バージョンは、4K解像度のサポート、より豊富なカラーパレット、より優れたライティングエフェクト、再設計されたユニットと基本構造物など、多くの機能を備えることが出来ました。

再設計の一部には、破壊エフェクトの視覚的忠実度のアップグレードが含まれていました。

コアゲームプレイループの大部分は、戦いと包囲による構造物の構築と破壊が中心に展開されるため、崩壊しつつある建物を描くために使用されるエフェクトは、

破壊の方法にある程度の独自性を保ちながら、多種多様な構造物のタイプにわたって可能な限り高品質であることが最重要でした。

また、ゲーム環境でズームイン出来るようにするためには、フレームレートの点でスムーズであり、且つ近距離で綿密に見ても問題ないテクスチャを持つ破壊シーケンスが必要でした。

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課題

高品質の視覚効果を確保するための解決策は、専任のアーティストをアサインしアニメーション自体を手動で作成することでしたが、現実的ではありませんでした。

理由の1つは、構造物が多すぎて、適切な時間内に手動でアニメーション化できないことです。

それが可能であったとしても、結果として生じる時間と予算の制約により、破壊効果の全体的な質が低下する可能性が非常に高かったでしょう。

課せられた制限内で、且つ許容出来る品質の効果を生み出すためには、別の代替案を見つける必要がありました。

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Houdiniによるプロシージャルエフェクトの生成

Houdiniの主なセールスポイントの1つは、複雑なシミュレーション効果を生成可能なことですが、

その真の強みは、そのプロセスの性質であり、一度セットアップを作成した後、様々な入力ジオメトリで機能させられることにあります。

これがAge of Empires 2:Definitive Editionで破壊エフェクトを作成するための主要なツールとしての採用に至った理由です。

チームが制作に取り掛かる前に、まず自分たちのニーズに対応するカスタムツールを作成する必要がありました。

このツールは、Houdiniチームに一連の編集可能なパラメーターを提供出来るように設計されています。これにより、物理的および視覚的な一貫性を確保し、最大のカスタマイズを可能にした上で破壊エフェクトを作成します。

それ以外にも、指定された材料のタイプに関連したコンストレインネットワークの自動生成もサポートしています。これにより、ゲーム内の様々な建築マテリアルの外からの力に対する抵抗をリアルにシミュレートできます。

木は通常、破片になる前に曲がりますが、石は直接崩れます。それ以外に、このツールは、布地シミュレーションパイプラインを通じて処理される布地等、他の素材も処理できます。

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ツールの開発が完了すると、Houdiniチームは、Virtuosのモデル制作部門が作成した建物モデルを使用して、破壊エフェクトの作成を進めました。

各モデルはゼロから構築され、元のゲームにあるバージョンとほぼ同じになるように設計されています。その後、モデルデータはHoudini内で使用するためにAlembic形式(.abc)として出力されます。

次に、タスクにアサインされたアーティストは、限られた数のパラメータを微調整することにより、様々な種類の破壊エフェクトを生成し、前述のカスタムツールによって提供される簡単にアクセス可能なインターフェイスに表示します。

これらのパラメータの1つは、特に木材、金属、石等、各タイプの建築マテリアルの物理的性質に関連します。これにより、構造物の一部が壊れてバラバラに崩れる動作が促進され、破壊エフェクトがよりリアルに見えます。

破壊プロセスが完了した後、その建物を担当するアーティストは、そのいくつかの断片を「壊れないコンストレイン」と結び付けます。建物が破壊されると、複数の部分に分かれて崩壊します。

パーツをこの制約とリンクすることで、より大きなパーツが無傷で生き残ることができ、無意味な瓦礫の山ではなく、有機的な破壊と廃墟の形成が生まれます。

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この時点で、破壊効果はほぼ完了したものと見なされます。アーティストは、いくつかの追加の表面的な変更を加え、構造物の特定のセクションをより視覚的に魅力的なシーケンスに配置することでアニメーションを微調整し、

最後にアートリードまたはディレクターによる承認のためにプレイブラストをコンパイルします。品質に問題ないと判断された後、破壊エフェクトはレンダリングプロセスのために3dsmaxにエクスポートされます。

結果と結論

プロジェクトのこの部分全体で、カスタムHoudiniツールの開発は、合計2週間という最も時間のかかったタスクであることが判明しましたが、

それが完了した後はスムーズな航海でした。 Houdiniチームは、ゲーム内の全ての建物に使用されるアニメーションを数時間以内に生成し洗練しました。

結果、各建物には破壊効果があり、ユニークでありながら、ゲームの美学に適合する一貫した破壊動作を維持していました。

sequence_01_3Houdiniのプロシージャル生成ツールでの作業に費やした時間はとても有益なものでした。

オーダーメードのアニメーションを比較的迅速に、それほど困難なく生成するのに非常に役立ちました。

時間が節約されたことで、アートチームはAge of Empires II:Definitive Editionの全体的なアートの方向性により多くの注意を向けることができました。

この成功に基づいて、Virtuosは現在、以下の領域に集中することにより、この経験を活用することを計画しています。

既存のHoudiniチームを大幅に拡張します。

内製のプロジェクトを開始し、Houdiniを使用して建物をプロシージャルに生成するなど、汎用性を高めるために更に多くのツールを開発してHoudiniと連結させます。

Houdiniやゲームエンジン内で使用するために、増え続けるデジタルアセットのライブラリを構築します。

オブジェクトが密集した環境(森など)を自動的に生成するためのプロシージャルなアセット配置ソリューション等、他プロジェクトでのプロシージャル地形生成に関してHoudiniを活用する機会をさらに模索します。

2020年にプロシージャルなレベルの作成機能を更に強化します。

プロシージャルテクノロジーとAIサポートテクノロジーが今後数年でゲーム業界でより大きな役割を果たすことは間違いありません。

また、Virtuosはそれらを活用し、ゲームに一流のアートアセットを提供するという使命を果たしていきます。

Virtuosについて

2004年の設立以来、Virtuosはゲーム開発と3Dアート制作におけるリーディングカンパニーです。現在はシンガポール、中国、ベトナム、カナダ、フランス、日本、韓国、アイルランド、アメリカで業務を行っており1700名の多様な人材が在籍しています。アート、エンジニアリング、ゲームデザイン等各分野のスペシャリストが最先端のテクノロジーとツールを使用し、世界中のクライアント様とゲームクリエーションの未来を創造出来るよう日々業務を行っています。これまでにゲーム業界を牽引する20社の内18社様とお取引させていただいており、1300を超えるプロジェクトでゲーム開発とアート制作における様々なサービスを提供しています。詳しくは www.virtuosgames.com/jaをご覧くださ

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